資格・学習
インフラ系の資格は転職で評価されるか|面接で聞かれた実感
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結論から言うと
資格そのものが年収を押し上げることは少ないですが、書類選考では共通の物差しとして機能します。面接では実際にやったことを問われるため、資格と実務経験をどう組み合わせるかが重要です。
この記事でわかること
- 資格が書類選考で機能する理由と、その限界
- 面接では資格より実務経験が問われる
- 基本情報技術者をどう位置づけるか
- 資格手当がある場合の考え方
- 資格取得を目的化するリスク
インフラ系の資格が転職でどう扱われるか、私は2020年の転職活動を経験するまで正確には分かっていませんでした。「資格を持っていると有利」という話と、「資格より実務経験が重要」という話が混在していて、どちらが本当なのかが整理できていなかった。
実際に経験してみると、どちらも正しくて、使われる場面が違うという結論になりました。書類選考と面接で、資格の機能がはっきりと変わる。このことを最初から分かっていれば、学習の優先順位の立て方が変わっていたと思います。
この記事では、インフラエンジニアの転職における資格の扱われ方を、私の経験をもとに整理します。なお、ここに書く内容は私が経験した1社ぶんの転職と、その後の採用側の経験をもとにしています。これが一般的かどうかは分からないので、そのつもりで読んでください。
⚠️ 注意点
資格の評価は企業・業界・時期によって大きく異なります。この記事の内容は私の経験にもとづく傾向の話であり、特定の資格を取れば転職が有利になることを保証するものではありません。各試験の受験料・合格率・提供状況は変動するため、最新の情報は各試験の公式ページで確認してください。
資格の種類と転職先の業界・企業規模の対応
インフラ系の資格といっても、転職先が求める資格は企業の規模や事業領域によって異なります。この対応関係を理解しておくと、「どの資格を優先するか」の判断がしやすくなります。
事業会社のシステム部門(社内IT・情報システム部)は、クラウドの管理・運用を担当することが多く、AZ-104(Microsoft Azure Administrator)やAWS SAAなど、管理者よりの資格が評価されやすい傾向があります。オンプレが中心の職場では、まだLPICやCCNAが評価軸になる場合もあります。
SIer・システム会社では、顧客向けの提案・設計・構築が主な業務になるため、設計者よりの資格(AZ-305など)に加えて、基本情報・応用情報などのIPA資格が評価軸になりやすい場面があります。とくに受託型SIerでは、入札要件にIPA資格の取得者数が求められることがあります。
クラウドネイティブ系スタートアップやWeb系企業では、資格よりも実際に手を動かした経験(GitHubのコード、実務での設計経験)が重視される傾向があります。資格が無いから不利ということはありませんが、あっても特別にプラスにはなりにくい。
この違いを理解したうえで、自分が目指している転職先はどの類型に近いかを考えると、取る資格の優先順位が見えてきます。転職活動のターゲットを絞る前段として、エンジニア転職エージェントの選び方でエージェントを使って情報収集するのも有効な方法です。
書類選考での資格の役割
書類選考で資格が機能する理由は、採用担当者が全員、技術の詳細を判断できるわけではないからです。
中小規模の会社では、採用の初期フィルタリングを人事が行うことがあります。エンジニアではない人が職務経歴書を見て、「次のステップに進むか」を判断するとき、技術スタックの細かい部分は読みにくい。そのとき、資格は「最低限これは分かる人」という共通の物差しとして機能します。
「AWS SAPを持っている」「AZ-305を持っている」「CCNA認定を持っている」という記載は、採用担当者が内容を詳しく知らなくても「この分野の認定試験をクリアした人」という情報として受け取れます。それが書類を通過させる一因になります。
私の経験では、エージェント経由で書類を出した会社と、求人サイトから直接応募した会社とで、反応の速さが違いました。エージェント経由の場合は担当者が技術要件を理解したうえで勧めているため、書類の通過率が上がりやすい傾向がありました。一方で直接応募では、資格欄の有無が通過率に影響すると感じる場面がありました。
ただし書類を通過した先では、話が変わります。
書類に書くときの注意
資格を書類に書くとき、取得時期とのバランスを意識してください。10年前に取ったCCNAを書いても、面接で「いまも使っていますか」と聞かれます。資格の取得年と、その後の実務での使用状況を合わせて書けると、情報として完結します。
職務経歴書の書き方についてはインフラ/クラウド職の職務経歴書の書き方に別途まとめました。資格欄だけでなく、職歴と実績の書き方全体のバランスについても触れています。
面接で資格の話がどうなるか
面接に進んでからは、資格の話が出てくることはほとんどありませんでした。正確に言うと、面接官が職務経歴書の資格欄を確認した様子はあるのですが、そこをわざわざ掘り下げて聞いてくることは少なかった。
代わりに聞かれたのは、実際にやったことです。
- 「その構成にした理由は何ですか」
- 「障害が起きたとき、あなたはどう判断しましたか」
- 「チームで何人でやっていましたか、あなたの役割は何でしたか」
- 「設計に関わったことはありますか」
これらはすべて、資格が問うものとは違います。資格の試験では「正しいコマンドはどれか」「適切なサービスはどれか」を問いますが、面接では「あなたは何を考えてどう判断したか」を聞かれます。
✅ ここだけ読めばOK
面接では「資格を持っているか」ではなく「実際に何をやったか、なぜそうしたか」を聞かれます。資格は書類を通過するための材料であり、面接で評価される直接の要因ではありません。この使い分けを最初から理解していると、学習の優先順位が立てやすくなります。
私が2020年の転職で一番手応えを感じた面接は、技術面接官に「その経験をもとに、もし同じ要件で設計し直すとしたら何を変えますか」と聞かれたときでした。資格の知識より、実際に経験したことを振り返って話せるかどうかが問われている場面でした。
技術面接で問われること
IT系の転職では技術面接がある場合があります。コーディングテストではなく、技術的なシナリオへの対応を口頭で問うパターンが多い。
インフラの場合は「この状況でどう対応しますか」「この要件だとどういう構成を考えますか」という問い方が来ることがあります。ここで活きるのは資格の知識より、実際にやってみた経験と、そこから得た判断軸です。
資格の勉強をしていると、設計の考え方や複数の選択肢の比較方法は学べます。ただしそれを面接の場で使えるようにするには、実際の案件での経験と結びつけておく必要があります。Azure資格の取る順番でも書いたように、資格の学習と実際に手を動かすことは別物であり、両方を組み合わせることで初めて面接で使える状態になります。
エンジニアの面接で実際に聞かれた内容についてはエンジニア面接で実際に聞かれた質問と答え方にまとめています。
「基本情報は意味ないのか」という問いへの答え
「基本情報技術者試験は意味ない」「取っても実務に使えない」という話をよく見かけます。この問いは、答え方によって変わってきます。
実務との直結という意味では、確かに限られています。インフラの現場で基本情報技術者の知識を直接使う場面は、ネットワーク、セキュリティ、データベースの基礎的な概念部分くらいです。サーバの構築や設計に日常的に使う知識ではありません。
一方でITの基礎を体系的に整理するという意味では価値があります。特にアルゴリズム、データ構造、ネットワーク、セキュリティの基礎概念は、インフラエンジニアが上流に関わるときの土台になります。設計の説明をするとき、顧客や開発者と話すとき、基本的な概念が揃っているかどうかは影響します。
転職の書類選考という観点では、基本情報技術者試験は「ITの基礎的な知識を確認する試験を通過した人」という証明として機能します。特に経験年数が少ない段階では、実績で差別化しにくいぶん、資格が補完的な役割を果たします。
インフラエンジニアとして5年以上経験があるなら、基本情報よりも自分の専門領域に近い資格(クラウド、ネットワーク、セキュリティ)のほうが書類の情報としては効果的だと感じています。
LPICやCCNAの位置づけ
インフラ系の資格として代表的なのがLPIC(Linux技術者認定試験)とCCNA(シスコのネットワーク認定)です。どちらも書類での物差しとして機能しますが、面接では「その資格を取ってから何をやったか」が問われます。
LPICを持っていても、Linuxの実務経験が資格取得の後から全くないと、面接で詰まります。私の周囲でも、資格を取った時期と実務との間が開きすぎている人が面接でうまく話せなかった、という例があります。
資格の取得時期と実務の経験を結びつけて話せる状態にしておく、というのが転職での資格の効果的な使い方だと思っています。
資格と年収の関係
この点はインフラエンジニアの年収相場と担当領域の関係の「資格は年収に効くか」という節でも書きました。ここで改めて整理します。
資格そのものが年収を押し上げることは少ないです。これは私の実感であり、あくまで傾向の話ですが、面接で資格を持っていることによって提示額が上がる、という経験はしていません。提示額は、経験年数よりも担当領域と、説明できる実績の幅で変わります。
ただし会社に資格手当がある場合は話が別です。
資格手当は月額で支払われる制度が多く、「AZ-305を取ったら月に〇〇円加算」というように、取得すれば確実に収入が増える設計になっています。これは計算できる投資です。勉強時間と取得難易度を考えて、投資対効果が見合うかどうかを判断できます。
転職先を選ぶ基準のひとつとして、資格手当の制度があるかどうかを確認してみるのは合理的だと思います。特に今後も継続的に資格取得を続けるつもりがあるなら、手当の種類と金額は条件比較の材料になります。資格手当は月額固定で支払われる場合が多いため、長く在籍するほど回収できる額が増えることも意識しておくとよいでしょう。
資格が書類選考に影響する仕組み
少し踏み込んで考えると、資格が書類選考で機能する理由のひとつは、採用担当者の認知コストを下げるからだと思っています。
「Azureの設計経験があります」という記述より、「AZ-305を保有」という記述のほうが、確認できる事実として受け取られやすい。前者は自己申告であり、後者はMicrosoftが認定したという第三者の証明です。
書類選考の段階では面接官が直接話を聞けないため、職務経歴書の記述から候補者を判断するしかありません。その判断を助けるものとして、第三者の認定は機能します。第三者認定があることで、採用担当者が個別にスキルレベルを推測する手間が減り、書類の通過判断がしやすくなるという側面があります。
資格を取ること自体が目的になるリスク
資格を取ること自体が目的になってしまうエンジニアが一定数います。「次はこの試験を取ろう」という目標設定が続き、資格欄は充実しているが実際の設計や構築の経験は浅い、という状態です。
転職市場でこれがどう見られるかというと、面接で詰まります。「この資格を取ってから、実際にどういう環境を作りましたか」という問いに答えられない状態では、資格の量がかえって印象を下げることがあります。採用担当者の側から見ると、「これだけ試験は受けているのに、やったことが少ないのはなぜか」という疑問が生まれます。
資格は実務経験に対する補完として使うのが自然です。設計の仕事をしながらAZ-305を取る、ネットワークの構築をしながらCCNAを取る。実務と学習が往復している状態が、転職の場面でも説明しやすい。
私が転職活動をしていたとき、エージェントから「資格はあるほうがいいが、使ったことと結びつけて話せないと逆効果になることがある」と言われました。私が経験した話なので一般化はできませんが、資格を書くなら「これを取ったあと、実際にこういう構成を担当した」という流れにしておくほうが、面接での説明がしやすいと感じています。
続かない勉強のパターン
資格を取ることを目的にすると、試験が終わると学習が止まるという問題が起きやすいです。試験の合否という明確なゴールがあるので、それが終わると次の動機がなくなる。
学習を継続するための考え方は働きながら勉強時間を確保する方法に書きました。資格の目標と、その先の実務目標をどう結びつけるかという観点で参考にしてください。
資格より評価されること
転職の面接で実際に評価されたと感じた要素を、私の経験から並べます。
担当規模と役割の説明
何台のサーバーを、何人のチームで、どういう役割で担当したか。この数字がある説明は、読む側に規模感が伝わります。規模が大きいほど評価されるわけではありませんが、自分が担当した環境の規模を説明できることは重要です。
判断の根拠
「設計でこういう構成を選んだ理由は、コストと可用性のバランスを取るためでした」という説明ができるか。理由なしに「この構成にしました」と言うより、判断の背景があるほうが評価される。
障害や問題の経験
うまくいったことより、何かがうまくいかなかったときにどう対応したか、のほうが面接で盛り上がりやすいです。障害対応の経験は「実際にその環境を動かした人」という証明になるため、評価されやすい。
説明の分かりやすさ
技術的な経験があっても、面接官に伝わらなければ評価されません。技術的な知識と、それを分かりやすく説明する能力は別物です。面接に向けては、自分がやってきたことを技術に詳しくない人でも理解できるように話す練習をしておくことが有効です。
資格を活用した転職の進め方
資格の扱われ方を理解したうえで、転職を考えるときの整理を書きます。
書類の段階では、自分の経験年数と領域に合った資格が書いてあれば十分です。資格をたくさん並べることより、「これを取ったあとにこういう実務をした」という流れが伝わる書き方のほうが効果的です。
エージェントを使う場合は、「自分の経験でどのくらいの求人に当たるか」を初回面談で確認するのが効率的です。エージェントは求人の技術要件を日常的に見ているため、「この経歴とこの資格の組み合わせだと、どういう求人が出てきますか」という聞き方ができます。
エージェントの選び方についてはITエンジニアの転職エージェントの選び方に書きました。インフラ寄りのエンジニアが転職エージェントを選ぶときに確認すべき点を整理しています。転職エージェントの利用は求職者側には費用がかかりません。
転職のタイミングと資格の関係については、正解はありません。転職を視野に入れてから資格を取り始める人もいれば、実務の延長として継続的に取り続けて、転職のタイミングが来たときに自然に書けている、という人もいます。私の感覚では後者のほうが自然で、面接での説明もしやすい状態になりやすいと思っています。
どのタイミングで転職活動を本格始動するかは、資格の取得状況だけでなく、現職の状況や求人の動向にも左右されます。エージェントに一度状況を話して、「今の経歴で書類が通る可能性がある求人がどのくらいあるか」を確認してから判断するのも現実的な方法です。資格の取得と転職活動は並行して進められる部分も多く、動き始めながら学習を続けることは珍しくありません。在職中の転職活動については在職中の転職活動の進め方で詳しく書いています。
職務経歴書に資格をどう書くか
資格と実務経験の関係が転職で重要だとしても、実際にどう職務経歴書に書けばよいかは別の問題です。
職務経歴書の資格欄は「取得年月・資格名」を並べる形式が多いですが、それだけでは資格と実務の連動が伝わりません。インフラエンジニアの場合、資格の記述に一言添えることで印象が変わることがあります。
たとえば、「AZ-305取得(2024年〇月)」と書くだけより、業務経歴のなかで「Azure環境の設計を担当。AZ-305取得後にゾーン冗長設計の要件定義を主担当で進めた」という形で実務と結びつけると、資格と経験が連動していることが伝わります。
これは資格欄で書くのか業務経歴欄で書くのかは場合によりますが、書類の読み手に「この人はこの資格の内容を実際の仕事で使っている」と読み取れる書き方が理想です。
職務経歴書と面接の一貫性
もうひとつ意識していたのは、書類に書いたことは必ず面接で聞かれる準備をすることです。資格を書いたなら、「その資格を取ってどういう仕事をしましたか」と聞かれることを想定して話を準備しておく。書類に書いたことが面接で詰まる原因になるのは逆効果です。
転職活動での職務経歴書の書き方についてはインフラエンジニアの職務経歴書の書き方に詳しくまとめています。資格の書き方だけでなく、業務経歴の整理の仕方も含めて参考にしてください。
資格の組み合わせを考える
単体の資格より、いくつかの資格が組み合わさって一貫したストーリーになっていると書類が読みやすくなります。
たとえば、「AZ-900(2022年)→ AZ-104(2023年)→ AZ-305(2024年)」という流れは、「Azureの基礎から入り、管理者経験を経て設計に進んだ」というキャリアの流れと一致します。資格の順番とキャリアの流れが対応していると、書類の読み手に整合性が伝わります。
試験コードは2026年8月時点の名称です。資格の現在の内容・提供状況は変わることがあるため、詳細はMicrosoft Learnの公式ページで確認してください。
まとめ
- 資格は書類選考で共通の物差しとして機能するが、それだけでは転職の決め手にならない。
- 面接では資格より実務経験、特に「判断の根拠」と「担当の役割」が問われる。
- 基本情報技術者試験はITの基礎整理として意味があるが、実務直結という意味では限られる。経験年数が少ない段階では補完的な役割がある。
- 会社に資格手当がある場合は計算できる投資になる。転職先を選ぶときの条件として確認する価値がある。
- 資格取得を目的化すると、実務経験が追いつかず面接で詰まる。実務と学習を往復させることが重要。
- 資格そのものが年収を押し上げることは少ない。担当領域と説明できる実績の幅のほうが提示額に影響する。
関連記事として、Azure資格の取る順番とインフラエンジニアの年収相場と担当領域の関係も合わせて読んでみてください。
よくある質問
インフラの資格は転職で評価されますか。
書類選考では共通の物差しとして機能します。ただし面接では実際にやったことを聞かれるため、資格だけでは評価の決め手になりません。
基本情報技術者試験は取る意味がありますか。
ITの基礎的な知識を体系的に整理できる点では意味があります。インフラの実務に直結するかどうかは別の話ですが、書類で「最低限の知識がある」という物差しとして機能することはあります。
資格手当がある会社に転職すべきですか。
資格手当は計算できる収入増加です。ただし手当の設定されている資格が自分のキャリアに合うかどうかは別途確認が必要です。
CCNA・LPICは今でも評価されますか。
書類選考での物差しとしての機能は残っていると思いますが、面接では「その資格を取ってから何をやったか」が問われます。取得時期と現在の実務との関係が重要です。
資格と実務経験、どちらが重要ですか。
転職の場面ではほとんどのケースで実務経験のほうが重要です。ただし書類選考を通過するという観点では、資格は補完的な役割を持ちます。